【相模原】「珈琲館樹里」惜しまれつつも閉店。青い三角屋根が町とともに歩んできた40年。【喫茶店】

相模原珈琲館樹里入り口

1.別れの日

2021年5月15日(土)午前6時半。僕はその喫茶店の前に立っていた。

喫茶店の名は「珈琲館樹里」

相模原駅から延びる、さがみ夢大通りから一本入った路地にひっそりと佇んでいる。

青い三角屋根にレンガ作りのモダンな建物。

静かな存在感を醸し出している。

ここだけ、時間の流れが違う。

樹里が閉店する。と知ったのはつい昨日のこと。

思わず見に来てしまった。

たくさんの人に愛されて来たであろう喫茶店。

僕もその1人だ。

一時期は毎週のように来ていた。

2階の片隅が僕の好きな席で、よくそこで数時間過ごしていたのを覚えている。

「レインボーブレンド」が好きでよく頼んでいた。

ここ数年立ち寄ることなく過ぎていたが、今日こうして向き合っている。

40年。長い歴史がある。

僕が生きてきたよりも長くこの場所にあり、たくさんの人々を見てきただろう。

僕にとって、喫茶店といえば「樹里」だ。

ここは喫茶店の理想であり、到達点とも言える。

外観からして、別世界だ。中に入ってしまえば、完全に外界から遮断され、「樹里」という空間に身を任せることができる。

今後、この世界に浸ることができないのは悲しい。

残りの人生において、もうこの場所はないんだ、とふと思う。

親しい人を亡くした時にも似た感情。

もういないという現実だけがそこにある。

その事実を、ゆっくりと受け入れていく以外にない。

2.最後に一杯飲んでおきたかった

夕方行こうと考えていたら、営業が17時までと聞いて焦る。

時刻は16時半。

店に着くと、店外に1人のお客さんが待っていた。

「間に合った」

そう思ったのも束の間。

出てきた店員さんの謝罪と共に置かれたメモ書き。

間に合わなかった。

仕方がない。

ちょうどマスターが外にいたので許可をもらい、とりあえず写真に収めてこの場を去った。

美味しいコーヒーをありがとうございました。

帰り道に感じる寂しさ。

陽が陰り、涼しくなってきた帰り道を往く。

最後に一杯飲んでおきたかった。

3.カフェクイーン

当日、僕たち夫婦は別々に来訪した。

僕は入れなかったけど、早めに来ていた妻は入店することができた。

彼女が注文したのは「カフェクイーン」。

僕も好きで、最後は「カフェクイーン」か「レインボーブレンド」にしようと考えていた。

結局叶わなかったけれど。

4.ありがとうございました

いつかは終わる日がくる。

覚悟はしていても悲しいことだ。

これから先、大きくなった息子にも愛してもらえたらと考えていたけれど、叶わなかった。

美味しいコーヒーと、思い出をありがとうございました。

僕は「樹里」を忘れることはないだろう。

同じように、この場所を愛する人たちはたくさんいるはずだ。

出会えてよかった。

一期一会。

日々を大切に。

場所も人も、ある日突然いなくなってしまう。

伝えられるうちに愛情を。

それでは良い1日を。

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